南越前町担い手農家インタビュー「私たちの営農💪」その7
- 2022.03.17
- 仕事
その7 井上典宣さん
氏名または名称 | 井上典宣 |
作業場所 | 堂宮 |
経営概要 | 花ハス6ha 水稲1.2ha |
特徴等 | 牛糞堆肥を使った肥料を使ってハスを作っています。 |
Q.花ハス栽培の魅力と苦労を教えてください
A.花を買ってもらったお客さんに喜んでもらえることです。「綺麗な花ですね」とお礼が来ると嬉しいです。
苦労することは、雑草を取ることですね。一つ一つ手作業で除去しています。とにかく除草対策を一番に考えています。
あとは、市場が花ハスを欲しい日に合わせなければならないです。雨が降っても台風が来ていても収穫しなければいけません。
Q.肥料を切り替えたとお聞きしましたが
A.約40年間化学肥料を使っていたところ、花の色が徐々に悪くなってしまいました。去年から牛糞堆肥を7割、化学肥料を3割に切り替えています。切り替えたところ、花の色が戻った(濃くなった)と評判を頂いています。
Q.南条蓮生産組合の組合長とお聞きしました。組合長として心がけていることはありますか
A.みんなの和を重視しながら、品質の向上、作業効率を高めることです。組合員がそれぞれ自分の事だけをやるより、協力した方が出荷までがスムーズです。
今後やりたいことは共同で出荷検査をすること。出荷検査用の組織が出来れば、生産した分を一括でそこに委託出来ます。
Q.新しい挑戦はされていますか
A.道の駅 「南えちぜん山海里」に出すために新たにレンコンを作っています。茨城で作られているレンコンの品種ですが、茨城は砂が半分ぐらい混ざったサラサラの土でやるのですが、こちらの粘土質の土壌なのでどうなるか楽しみです。
また、白い花ハス(普通の花はピンク)の面積も増やしていきたいです。仏花としての需要を見込んでいます。
Q.一般の方、農家が花ハス生産にチャレンジできますか
A.新規就農者がこの集落でやるなら挑戦できます。すでに新規で花ハスを生産したいという方が、堂宮で花ハスを生産し始めています。
よく、他所からハスのレンコン(種)を譲ってもらえないか聞かれますが、誠ハス(南越前町の花ハス)の種は絶対に出せません。門外不出の種です。
Q.必要な人材・必要な資格を教えてください
A.30代からですね。とにかく若い人です。農業は定年がないので若ければ若いほどいいです。そして、住宅がないといけません。空き家はありますが、人の手が長く入ってない空き家は人が住める状態になるまで戻すのが大変です。
必要な資格は、大型特殊免許です。トラクターに乗るために最低限大型特殊免許がないといけません。
Q.始めるにあたって準備したほうがいいものを教えてください
A.体力と忍耐力がいります。昔は毎日仕事に出ていましたが、今はそういうわけにはいかないけど、仕事は毎日あるからいつでも田んぼに出るぐらいの気持ちが必要です。
自分でやる場合は仕事の段取りをして、雨が降った日は平日休日関係なく休んで、自分のペースでやればいいです。
Q.アルバイトは必要ですか?また、常時雇用等は考えておられますか
A.収穫のお手伝いは必要です。夏の7月〜8月に掛けてピークを迎えるため、その時期のアルバイトの方は絶対に欲しいですね。
ピークは7月に2日、8月に5日〜1週間ぐらい忙しいタイミングがあります。
ただ、1年を通しての仕事がないため、常時雇用は厳しいです。
Q.もし後継者ができたら次の後継者に引き継げる設備はありますか
A.やる人が現れるならトラクターや施設を譲っても良いです。今なら(自身が所有している山の)木もちょうど切り頃で、施設ぐらいなら作れます。
Q.就農される方への課題とその原因を教えてください
A.収入面の不安が課題ですね。働き盛りの若者だと年間300万円から400万円はないといけないと思いますが、現状不足しています。また、機械に乗れる資格が必要ですが資格をとるにも資金が必要です。
Q.スマート農業についてはどう思いますか
A.自動耕運トラクター等は入れていません。
田んぼが深すぎて、有人トラクターですら沈んでいくので無人トラクターにはまかせられません。そのため田んぼを先に直すこと(客土事業)を行わなければいけません。
たとえ1000万円かかったとしても作業が楽になるなら、導入してみたいですね。
Q.最後に農業のいいところを教えてください
A.ストレスがないですよね。農家は一人一人が社長なので、自分の裁量で仕事ができます。例えばですが、草刈りを午前中やって、午後からトラクターに乗るなどいろいろな方法があります。また、頑張った分だけ所得が上がります。
何と言っても生涯現役でやれることですね。体を使わなければ弱っていくだけですが、仕事があることで生活にハリが出ます。